技術コミュニティラボ

 
   島根大学地域未来協創本部産学連携部門  

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第22回ミーティング

千葉 晶彦 特任教授による講演の様子

 島根大学地域未来協創本部および島根県産業振興課は、2025年7月15日(火)に、島根大学先端マテリアル研究開発協創機構 兼 東北大学未来科学技術共同研究センターの千葉 晶彦 特任教授を講師にお迎えし、技術コミュニティラボ第22回ミーティングを開催しました。県内外から企業、公設試験研究機関、大学関係者など計20名のご参加がありました。

 千葉 特任教授には、「金属積層造形技術の最新動向」をテーマに講演していただき、金属積層造形技術(金属3Dプリンタ)における代表的な二つの方式、すなわちレーザービーム方式と電子ビーム方式の技術的な違いや、それぞれの特性・利点・課題点について、実際の造形映像を交えながら解説していただきました。

 具体的には、両方式におけるメルトプール(溶融池)の形状や安定性の違い、造形時に形成されるビルド欠陥形成メカニズムの違い、スパッタ(溶融金属の飛散)の発生状況、さらに造形プロセスパラメータの最適化に必要なキーホール型と熱伝導型メルトプールの制御法や造形速度といった点が比較され、参加者は視覚・聴覚を通じて両技術の特徴を理解することができました。

 当初は、レーザービーム方式では電子ビーム方式に比べてスパッタの発生が多く、造形欠陥発生や後処理において課題となる可能性があるとされていました。しかしその後、レーザービーム方式の近年の技術進展として、「Dynamic Beam Shaping(動的ビーム整形技術)」が紹介されました。これはレーザーのビーム形状を柔軟に制御可能とする次世代技術であり、これによりメルトプールの形状が安定化し、スパッタの発生量も大幅に低減可能となったとのことです。この技術革新により、従来レーザー方式の課題とされていた点が克服されつつあり、実用面での競争力が大きく向上していることが示されました。

 千葉 特任教授は、レーザービーム方式と電子ビーム方式のいずれが優れているかという単純な比較ではなく、目的や用途に応じた適切な方式の選択が重要であるというご見解を述べられました。

 講演中、多数の質問が寄せられ、参加者との活発な議論が展開されました。

 また講演後には、ミニ情報提供として、島根大学先端マテリアル研究開発協創機構の藤枝 正 教授より「島根大学における金属積層造形研究の取組み概要」をテーマに、王 昊 准教授より「その場 合金化による材料開発および技術開発」をテーマに研究紹介をしていただきました。

地域未来協創本部産学連携部門
服部 大輔 准教授

先端マテリアル研究開発協創機構
藤枝 正 教授

先端マテリアル研究開発協創機構
王 昊 准教授

 最後に、希望者を対象に、センター1階に展示されている金属積層造形技術によるサンプルや造形動画の見学会が実施され、藤枝 教授および王 准教授より、展示物に関する丁寧な解説が行われました。

  日時・会場

 

  主催

 

2025年7月15日(火)13:30〜16:00

島根大学 松江キャンパス 産学協創インキュベーションセンター

 

 

島根大学

島根県

 

  情報提供者

 

  プログラム

 島根大学 先端マテリアル研究開発協創機構 兼
 東北大学未来科学技術共同研究センター
  千葉 晶彦 特任教授

13:30 挨拶、趣旨説明、自己紹介

13:40 研究紹介、質疑応答
     ・金属積層造形技術の最新動向
      千葉 晶彦 特任教授

15:40 研究紹介
     ・島根大学における金属積層造形研究の取組み概要
      藤枝 正 教授(島根大学先端マテリアル研究開発協創機構)
     ・その場合金化による材料開発および技術開発
      王 昊 准教授(島根大学先端マテリアル研究開発協創機構)

16:00 終了

  研究シーズのPRポイント

 

・動的ビーム成形によるレーザービーム粉末床溶融法の高生産性化・高品質化

・電子ビーム粉末床溶融法「ポイントメルト」による高精度・微細組織制御技術

・粉末リサイクルによる持続可能なAMプロセスの実現

・幅広い産業分野への展開可能性


- 連絡先 -
島根大学地域未来協創本部産学連携部門
〒690-0816島根県松江市北陵町2(ソフトビジネスパークしまね内)
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