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専任教員のひとこと

 専任教員の北村の産学連携に関するひとこと

「産学連携の役割」(和歌山大学地域共同研究センター 年報2008 に掲載)

 島根大学産学連携センターは,「共同研究センター」という制度の下に「地域共同研究センター」としてスタートした。共同研究から産学連携のブーム,そして,国立大学の法人化の波に洗われ,名前も中身も変化してきた。

 その役割はと考えると,共同研究の推進を中心とした活動から,地域の産業の振興を目的とした産(企業)と学(大学や高専)と官(自治体)の連携の推進に変わり,研究面のみならず人材育成を中心とした教育面での活動にも力を入れるようになった。活動を通じ,地域社会からは単なる窓口から大学の改革の中心になるように求められるようにも感じられ,逆に学内からは疎ましい存在として映っているようにも感じられる。

 大学の中で産学連携に携わり10年,いろいろな方々と接してきた。産学連携がうまくいったと思われるケースでは,教員や企業の方が「役に立った,あるいは,必要とされた」と言うことが実感できたようである。共同研究先の社長さんから期待され,実用化した製品が売れ,お客さんの声が聞こえれば,研究者としてもうれしいものである。

 ある新聞記事で見たのだが,「人の幸せは,4つ。愛され,褒められ,役に立ち,必要とされること」だそうだ。産学連携では,その二つは感じられる。これがその後の研究や教育,あるいは,学生そのものに大きな影響を与えると期待したい。産業も少ない地域の小規模な大学で産学連携を行っていると,知財の活用や研究費の獲得も確かに大きな成果だが,もっと違った目で産学連携の成果を見ていきたいと感じるようになった。

 このようなことを感じつつ,さて,センターのこの先はと思いを巡らすと,学内外の圧力に翻弄されながら,地域社会と大学とを結ぶパイプとして機能しつつ,期待されながら,あるいは,疎ましく思われながら存在するのだろうと思われる。今後,「産学連携センター」という名称や役割がどう変わっているのか,いくつかの候補を思い描きながら時代という波を相手に舵を切るべき方向を模索するこの頃である。

(H21年3月 北村)


 専任教員満10年のひとこと

「役割はガードマン!?」

 産学連携の仕事に携わって10年が過ぎようとしている。

 この10年を振り返ると,産学連携の意味するところを理解せず見様見まねで取り組み始めた初期,弱小大学ながら共同研究の実施件数で有名校と肩をならべた一時期,国立大学の法人化に伴い慣れない特許などの知的財産を大学で面倒を見なければならなくなった頃,そして景気の後退に先駆け共同研究の件数が低下してきた現実,こんな感じであろうか?

 この先どうなるのか,あるいは,どうしたいのかと,ふと考えて見た。
 大学という,フラットさを特徴とする組織,研究の多様性を確保してきた歴史,地域の中で貢献をと求められる環境,教育機関という大きな使命,これにふさわしい「産学連携」を担う「センター」の先は,ガードマンかもしれないと思い始めるこの頃である。

 「ガードマン」???と思われるだろう。

 警察のような捜査権もなく明確な逮捕権も与えられず,使用できる機具も限られ,それでも多くのところで見かける「ガードマン」。困った人がいれば手助けし,不審者がいれば本当に不審者か見極め,危機が迫れば前面に立って防御し,しかし,普段は居るだけで何もしていないように思われる,あのガードマンである。必要な専門知識や高度なスキルを持ち,安全を維持し安心感を与える存在ながら,でも普段は役に立っているのか立っていないのかわからない存在。何となく,センターやそのスタッフに似ていませんか?

 産学連携が進み,大学の教員も企業もその扱いに慣れてくると,皆さんが勝手に進めて成果を上げてくれる。でも,時々,うさんくさい打診や権利の主張でもめたりする。そんな時に,養ってきた知識とスキルで対処する力強い存在になれれば,フラットさを特徴とする大学にふさわしいセクションになるのでは思うことがある。
 そこで何をするかって,そりゃ,何も不具合が起こらないことを祈りつつ,平和な環境でお昼寝です。こんな贅沢な時代,いつになったら来るのだろう。今日も現実を離れて,そんな夢を見ている。

(島根大学産学連携センター 北村 寿宏  H21年3月)

 
「産学連携からイノベーションへ」

 地域の作り,地域の活性化,産業の競争力強化,そんな視点で見ていくと,産学連携の先は,言い尽くされている感があるが,地域でのイノベーションの創出ということになるのだろう。地域の産業の強み,大学の特徴,地域の資源を活かして,産業を強化し,新しい産業を育成していく,確かに必要なことであり,大学だけでなく産業界,行政の協力無くしては実現できないことと思われる。

 現在「産学官連携拠点形成」の検討が進められている。産学連携の窓口としてのセンターだけでは歯も立たたない。産業で活用できる研究成果のみならず,教育システムにまで踏み込んだ大学全体の取り組みが求められているだけでなく,産業界の積極的な協力あるいは自発的な取り組みも求められている。産学官が,新事業の創出,イノベーションの創出など産業の活性化という共通の目標に向かって,それぞれできることは何か,どのように変わっていかなければならないのか,考える良い機会となりそうだ。そう言う意味では,大学の産学連携のセンターは,地域のビジョン作りの最先端の機能を必要とされているのかもしれない。

 さて,島根の地域に目を落とすと,大学の状況,産業の規模や歴史,産業分野と大学の構成の不一致・・・など負の材料ばかりが目にとまる。これではいけないと思いつつ,その先に向けて進もうとしているが,非常に険しい道が待っていそうだ。あるいは,全く別の路線をと現実逃避もよぎるこの頃である。

(島根大学産学連携センター 北村 寿宏)


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