山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会
  New Technology Presentation Meetings!

島根大学産学連携センター


 医療・バイオ    食 品    材料・化学 

 7月8日(金)に,(独)科学技術振興機構(JST)の東京本部において,山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会が開催されました。

 新技術説明会は,大学や公設研究機関等から生まれた研究成果の実用化を促進するために開催されるJSTの事業であり,山陰地域の大学,公設研究機関が連携して開催するのは,今年度で5回目になります。

 今回は,島根大学,鳥取大学,島根県産業技術センター,鳥取県産業技術センター,鳥取県農林水産部農林総合研究所から,計10件の新技術の説明が行われました。

 参加者は,関東圏を中心とした約100名が集まり,山陰発の新技術に,熱心に耳を傾けられていました。

 島根大学からは,総合科学研究支援センター実験動物分野の川上浩平技術職員による「実験動物(マウス・ラット)用の片手持ち搾乳器の開発」,生物資源学部の浅尾俊樹教授による「腎臓病患者も家族と一緒に食べられる『低カリウムメロン』の生産」,総合理工学部の高橋和文准教授による「蛍光性有機化合物の合成―アザキンクフェニル―」,以上の3件の新技術の説明が行われました。

会場の様子

 各発表の終了後には,展示ブースや相談コーナーで,名刺交換や,民間企業等からの具体的な相談を,担当コーディネータを交えて協議が行われました。

 右:総合科学研究支援センター
    川上浩平 技術専門職員
 左:産学連携センター 丹生晃隆 講師

 中:生物資源科学部 浅尾俊樹 教授
 左:産学連携センター 丹生晃隆 講師

 今回の新技術説明会は,島根・鳥取両県の産学官連携の関係者も多数集まり,情報交換を行う良い機会ともなりました。このようなイベントを通じて,大学発の新技術が産業界に活用されるきっかけづくりだけでなく,参加機関同士の技術交流やマッチングなど,島根・鳥取両県の垣根を越えた産学官連携が進むことも期待されます。

 島根大学では,研究成果を何に利用できそうかという視点で,産業界の方々に,研究内容をわかりやすく紹介する目的で研究シーズ集を作成しています。今回の発表シーズと合わせてご覧ください。


日時

  平成23年7月8日(金)11:00〜17:20

会場

  科学技術振興機構JSTホール(東京・市ヶ谷)
主催 鳥取大学,島根大学,鳥取県産業技術センター,島根県産業技術センター,
    鳥取県農林水産部農林総合研究所,(独)科学技術振興機構

共催

  中国地域産学官連携コンソーシアム

後援

  鳥取県,島根県,(財)鳥取県産業振興機構,(財)しまね産業振興財団
  山陰合同銀行,鳥取銀行,島根銀行,(独)中小企業基盤整備機構
    全国イノベーション推進機関ネットワーク

島根大学の技術シーズ発表

 医療・バイオ 

(11:40〜12:10)

実験動物(マウス・ラット)用の片手持ち搾乳器の開発
 総合科学研究支援センター実験動物分野 川上浩平 技術専門職員

研究シーズ

新技術の概要

 本装置は,実験動物(マウス・ラット)用の片手持ち搾乳器である。ラッパ状に加工したガラス管で乳房の乳輪部周辺を覆い,他方から吸引器により発生させた負圧で搾乳する。効率の良い搾乳が可能であり,かつ,操作や洗浄も容易である。
【従来技術・競合技術との比較】

 従来,小動物用の搾乳器はない。ヘマトクリット管を用いた搾乳法もあるが,手技が困難なため,授乳された仔の胃からの採取が主流であった。本装置は操作が簡便かつ安価であり,母獣,仔とも安全に十分なサンプル量が採取できる。

【新技術の特徴】
授乳中の実験用小動物(マウス・ラット)から乳汁サンプルが得られる
搾乳操作が簡便で安価である
保存容器への移し替えが不要で,数100μL程度の少量サンプルも採取,保存が可能
【想定される用途】 【J-STORE掲載特許情報】
保存した乳汁による仔の哺育(遺伝子改変動物など)
乳汁中への化学物質などの移行に関する研究
(移行抗体,喫煙,放射性物質,環境ホルモン,薬剤など)
毒性試験
薬効薬理試験(乳汁分泌量の検討など)
栄養学的試験(乳汁中の成分分析など)
片手持ち搾乳器
2010-0966854
【関連情報】
サンプルの提供可能
  食 品  

(15:50〜16:20)

腎臓病患者も家族と一緒に食べられる「低カリウムメロン」の生産
 生物資源科学部  農業生産学科 浅尾俊樹 教授

 研究シーズ

新技術の概要

 養液栽培の培養液をコントロールすることにより,食事において厳しいカリウム摂取制限を受けている腎臓病患者向けの低カリウムメロン生産が可能となった。
【従来技術・競合技術との比較】

 ホウレンソウは茹でる等で低カリウムとなり,腎臓病患者用食材として利用可能になるが,生食するメロンは腎臓病患者にとっては摂取制限を受ける食品であった。本技術により低カリウムメロン生食が可能となった。

【新技術の特徴】 【想定される用途】
植物体内の養分調整が可能
養液栽培による生産が必要
培養液中特定肥料分の随時改変による生産
病院食用食材
お見舞い用贈答品
ケータリング用食材
  材料・化学  

(16:50〜17:20)

蛍光性有機化合物の合成 −アザキンクフェニル−
 総合理工学部 物質科学科 高橋和文 准教授

研究シーズ

新技術の概要

 有機発光材料の開発の一環として,青色の蛍光(発光波長 400nm)を発するパラモノアザキンクフェニルの合成に成功した。従来芳香環の中にヘテロ原子をたくさん導入して,赤から緑の蛍光性化合物を合成していたが,今回ヘテロ原子を窒素一原子に限定した結果この色素を得た。
【従来技術・競合技術との比較】

 EL材料として,たくさんの有機蛍光性物質が合成され,これを用いる発光技術は高輝度・フィルム状表示材料の創成等の成果を見せたが,高価であることと耐候性の短さという面で液晶材料やプラズマ表示材料程の需要を喚起するには至っていない。が,この技術が至高の表示材料となるとの期待は消えておらず,蛍光性有機材料の模索はなお続いている。

【新技術の特徴】
可視光にさらされてはいけない状況下の暗黒闇における誘導路等の表示材料
他者に明示してはならない情報を,限定された人のみに知らすための表示材料
メルヘンを演出するための表示材料
【想定される用途】
超薄型高輝度テレビ
LED照明
発光インク

お問合先

  島根大学産学連携センター連携企画推進部門(担当:丹生)
   

〒690-0816 松江市北陵町2

TEL:0852−60−2290 

E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp

URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/