出雲土建株式会社と総合理工学研究科の中尾哲也教授とが共同研究を行い,調湿用木炭「炭八」を,住宅の天井裏に敷設することで,重量床衝撃音が低減できることを明らかにしました。
この成果に基づき,「天井裏に木炭を敷設したコンクリート系構造の階床の遮音構造に応じて評価する方法」として,国土交通大臣の特別評価方法の認定を受けたことを,平成24年10月25日(木)に記者発表しました。
従来の技術では,重量床衝撃音を低減するためには,スラブ厚さ(コンクリートの床版の厚さ)を厚くすることが必要であるとされてきました。今回の共同研究では,実際にスラブ厚さ15pのマンションを建設し,重量床衝撃音の中でも特に低減させるのが難しいといわれている「重量床衝撃音63Hz帯域」について調査しました。
その結果,天井裏に「炭八」を敷くことで,敷かない場合に比べて重量床衝撃音63Hz帯域の音が8dB〜11dB程度低減できることを明らかにしました。この音の低減量は,スラブ厚さを3〜5cm厚くした場合と同等の効果であり,例えばこれまで遮音対策のためにスラブ厚さを18cmとしていたものを15cmにすることが可能となります。このことは,建物の軽量化,コスト削減につながることが大いに期待できます。
共同研究では,音が低減される理由として,炭八が,天井の制振効果を持つことに加えて,吸音効果があることが推測されています。
調湿木炭「炭八」は,出雲土建株式会社と本学が平成13年に産学連携で研究・開発を始め,翌年に商品化されました。「炭八」は,建築廃材などのチップから製造された調湿用木炭で,マンションや一戸建ての住宅の天井裏や床下に敷設することができ,現在では全国で販売されています。
平成13年以降,総合理工学研究科や医学部,そして産学連携センターと共同研究が続けられており,「炭八」を敷設する効果として,今回の防音以外に,調湿効果や防かび,省エネ効果など様々な効果が実証されています。
この度の認定についての詳細は,出雲土建株式会社のHPをご覧ください。
なお,省エネ効果については,昨年の記者発表やNHKエコチャンネルのHPを覧ください。