アグリ・メディカル 新技術説明会
  New Technology Presentation Meetings!

島根大学産学連携センター

 

 平成29年10月24日(火)に,東京・市ヶ谷のJST別館ホール1階にておいて, アグリ・メディカル新技術説明会 が開催されました。

 新技術説明会は,大学や公設試験研究機関等から生まれた研究成果の実用化を促進するために開催される科学技術振興機構(JST)の事業です。

 山陰地域の大学,公設試験研究機関が連携して開催するのは11回目となり,農学および創薬に関する研究をテーマに,島根大学,鳥取大学,島根県産業技術センター,鳥取県産業技術センターから計6件の新技術の発表が行われました。

 本学からは2件の発表がありました。

 まず,「Epstein-Barrウイルス関連癌に特異的な抗腫瘍剤」をテーマに医学部医学科 吉山裕規 教授が発表しました。

 次に,「タグ抗体でお悩みのあなた!新しいシステムができました」をテーマに医学部医学科 浦野 健 教授の新技術について,当センターの中村守彦 教授が代理で発表しました。

閉会挨拶 吉山裕規 教授 中村守彦 教授
大庭卓也 産学連携センター長    

 当日は,台風の影響にもかかわらず関東圏を中心に109名の参加者が集まり,山陰発の新技術に熱心に耳を傾けられていました。

 また,各発表の終了後には,会場外にて名刺交換が行われ,担当コーディネータも交えた交流が行われました。

 今回発表された本学の新技術2件について,具体的な連携につながるように,産学連携センターとして積極的にサポートをしていく予定です。

 
 
   日時  
名刺交換の様子
右から 医学部 吉山裕規 教授
  産学連携センター 中村守彦 教授
  産学連携センター 松下幸之助 教授
 平成29年10月24日(火)12:55〜16:00
   会場
 JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
   主催  

 科学技術振興機構,鳥取大学,島根大学,

 鳥取県産業技術センター,島根県産業技術センター

   後援  

 特許庁,鳥取県,島根県,鳥取県産業振興機構,

 しまね産業振興財団

   協力

 中国地域産学官連携コンソーシアム

       
   島根大学の技術シーズ発表概要
 
創薬

Epstein-Barrウイルス関連癌に特異的な抗腫瘍剤

研究シーズはこちらをご覧ください

 医学部 医学科・微生物学講座 吉山 裕規 教授

Epstein-Barrウイルス(EBV)は,ヒトのBリンパ球や上皮細胞に長期間潜伏持続感染し,腫瘍化する。今回,ウイルスのmicroRNA (BART miRNA)の転写調節を行う転写因子を同定した。この転写因子の結合化合物は,BART miRNAの産生量を抑制し,EBV感染上皮性腫瘍細胞における溶解増殖感染を誘導し,感染細胞のアポトーシスを導く。EBV感染上皮性腫瘍に特異的な抗腫瘍剤の開発が可能である。

【従来技術・競合技術との比較】

類似のUnited States Patent 20150329865は,ウイルスmiRNAのうちmiR-BART20-5pの活性を核酸薬により阻害し,ウイルス溶解感染を誘導し,ウイルス感染細胞を破壊させる。一方,今回の提案は2点が違う。1) 1個のみではなく,20個以上のEBV miRNAの発現を同時に抑制する。2) 特定のETSファミリー遺伝子を対象とし,核酸薬ではなく化合物を用いてウイルス感染細胞にアポトーシスを誘導し,抗腫瘍作用を発揮する。

【新技術の特徴】

ETSファミリー遺伝子の阻害はEBV潜伏感染細胞に特異的にアポトーシスを引き起こした。
US 20050221490 Aに記載されている核酸誘導体を用いたDNAウイルス由来miRNA阻害剤は,転写を抑制できない。
ユーイング肉腫の治療薬として臨床応用間近な,ETV1阻害薬YK-4-279が,ウイルス感染細胞にアポトーシスを誘導できた。

【想定される用途】

EBV感染上皮性腫瘍に特異的な抗腫瘍剤として,EBV関連胃癌及び上咽頭癌などの治療に用いる。
EBウイルス感染症に対する特異性が高いため,他の薬剤との併用が容易である。
予後不良なEBウイルス増殖性疾患への適応拡大も想定される。
 
創薬

タグ抗体でお悩みのあなた!新しいシステムができました

研究シーズはこちらをご覧ください

 医学部 医学科・生化学講座 浦野 健 教授

短いアミノ酸配列を高感度で特異的に認識するモノクローナル抗体を開発しました。この短いアミノ酸配列と本抗体からなるタグシステムはウエスタンブロットではバックグラウンドが非常に低く,免疫沈降法や細胞染色にも威力を発揮します。さらに酵母ではクロマチン免疫沈降法(ChIP)にもきちんと使えます。

【従来技術・競合技術との比較】

抗体が認識するタグ配列が5アミノ酸と非常に短いため,標的遺伝子の前後にオリゴDNAを用いて簡単にタグ配列を挿入することができます。分子生物学的手技のほとんどすべてに応用できるタグシステムです。核内タンパク質の細胞染色でも威力を発揮します。

【新技術の特徴】

ウエスタンブロットでのバックグラウンドが非常に低いです。
免疫沈降法、細胞染色,クロマチン免疫沈降法(ChIP)にも威力を発揮します。
ヒト細胞ばかりではなく,酵母にも使用できます。

【想定される用途】

抗体がまだ存在しないタンパク質でもその細胞内局在を可視化できます。
タグを付加したタンパク質の細胞内複合体をしっかりと保持し,質量解析に持っていくことができます。
酵母などでのクロマチン免疫沈降法(ChIP)に使用できます。
 
   お問合先

島根大学の発表については産学連携センター連携企画推進部門(担当:服部)にお問い合わせください

〒690-0816 松江市北陵町2  TEL:0852-60-2290

E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp  URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/