材料・ライフサイエンス分野 新技術説明会
  New Technology Presentation Meetings!

島根大学産学連携センター


 平成28年7月14日(木)に,東京・市ヶ谷のJST別館ホール1階にておいて,「材料分野新技術説明会」および「ライフサイエンス分野新技術説明会」が開催されました。

材料分野新技術説明会

ライフサイエンス分野新技術説明会

 新技術説明会は,大学や公設試験研究機関等から生まれた研究成果の実用化を促進するために開催される科学技術振興機構の事業です。

 これまで,「山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会」と題していましたが,今年度から分野名での開催となりました。

 山陰地域の大学,公設試験研究機関が連携して開催するのは10回目となり,材料とライフサイエンスをテーマに,島根大学,鳥取大学,島根県産業技術センター,鳥取県産業技術センター,鳥取県から計9件の新技術の発表が行われました。

 本学からは,総合理工学研究科の梶川靖友教授による「ガラス基板上の多接合太陽電池を目指したGe(111)面上へのGaAs層形成方法」についての発表,同じく総合理工学研究科の葉 文昌 准教授による「シェブロン型レーザビーム走査による走査領域の局所単結晶化」についての発表が午前中の材料分野新技術説明会において行われました。

 一方,産学連携センター 地域医学共同研究部門の中村守彦 教授による「誤飲したボタン電池等の金属異物を簡単に除去するマグネット鉗子」についての発表が午後からのライフサイエンス分野新技術説明会において行われました。

 当日は,関東圏を中心に材料分野新技術説明会では61名,ライフサイエンス分野新技術説明会では126名,合計187名の参加者が集まり,山陰発の新技術に熱心に耳を傾けられていました。また,各発表の終了後には,会場外のポスターの前で名刺交換が行われ,民間企業等からの具体的な相談について,担当コーディネータも交えた協議が行われました。

 今回発表された新技術3件について,具体的な連携につながるように,産学連携センターとして積極的にサポートをしていく予定です。

大庭センター長による挨拶

名刺交換の様子

島根大学の展示

 
   日時    会場
 平成28年7月14日(木)9:55〜15:30  JST東京本部別館1Fホール(東京・市ケ谷)
 主催  後援

 国立研究開発法人科学技術振興機構,

 国立大学法人鳥取大学,国立大学法人島根大学,

 地方独立行政法人鳥取県産業技術センター,

 島根県産業技術センター

 鳥取県,島根県,公益財団法人鳥取県産業振興機構,

 公益財団法人しまね産業振興財団,

 

 協力  
 中国地域産学官連携コンソーシアム  
 島根大学の技術シーズ発表
 

材料分野 新技術説明会 (9:55〜12:00)

https://shingi.jst.go.jp/kobetsu/sanin/2016_sanin1.html

材料

ガラス基板上の多接合太陽電池を目指したGe(111)面上へのGaAs層形成方法 

(10:30〜10:55)

 島根大学 総合理工学研究科 機械・電気電子工学領域 梶川靖友 教授

新技術の概要

ガラス基板上に(111)配向した大粒径多結晶Ge膜を形成する技術を利用して,ガラス基板上にGeとGaAsからなる多接合太陽電池を作製できる可能性がある。しかし,Ge(111)面上に直接GaAs層を形成すると,回転双晶が発生する。本発明は,Ge(111)面上に回転双晶のないGaAs層の形成法を提供する。

【従来技術・競合技術との比較】

単結晶Ge(100)基板上にGeとGaAsからなる多接合太陽電池を作製する技術は実用化されている。一方,Ge(111)面上にGaAs層を直接形成すると回転双晶が発生することが知られている。本発明では,GaAs層を形成する前に,GaSb緩衝層を形成することで,回転双晶の発生を抑制した。

【新技術の特徴】

ガラスの軟化温度以下での形成が可能
回転双晶の発生がほぼ完全に抑制できた
(111)面上の成長なので,(100)面上の成長で問題となったアンチフェーズ領域の発生はない
【想定される用途】
ガラス基板上の多接合太陽電池
高速な薄膜トランジスタ
大面積InGaAs赤外検出器
材料
シェブロン型レーザビーム走査による走査領域の局所単結晶化  

(11:30〜11:55)

 島根大学 総合理工学研究科 機械・電気電子工学領域 葉 文昌 准教授

新技術の概要

考案した片側ダブプリズムによりレーザダイオードからの出力を光利用効率70%以上でシェブロン字型ビームに整形し,このビームを半導体膜上へ走査することにより単結晶化させる方法を提供する。

【従来技術・競合技術との比較】

従来の面照射エキシマレーザ結晶化法と違い,本研究では走査箇所だけを,単結晶化する事ができる為,プロセスコストは総照射面積に反比例することから桁違いに低くでき,また単結晶化できるために,デバイス均一性は向上し,更にキャリア移動度は約5倍大きくなる。

【新技術の特徴】

広範囲な直径のシャフト固定に対応および水平・直立方向に固定が可能なこと
軸合わせ機能は0.1deg/50mmの範囲に誰でも容易にセットできること
位置合わせに必要な機能を組み合わせたシンプルな構造とし,軽量化と操作性の向上を図ったこと
【想定される用途】
精密シャフトの輪郭形状測定時の位置合わせ用治具
球状部品及び円筒状部品の観察時固定用治具
丸物形状の3次元測定用の固定治具
 

ライフサイエンス分野 新技術説明会 (12:55〜15:30)

https://shingi.jst.go.jp/kobetsu/sanin/2016_sanin1.html

医療

福祉

誤飲したボタン電池等の金属異物を簡単に除去するマグネット鉗子 

(13:30〜13:55)

 島根大学 産学連携センター 地域医学共同研究部門 中村守彦 教授

新技術の概要

ボタン電池など金属異物が長時間消化管内に停留すると壁穿孔を来たし、場合によっては致死的状況となるため早急な回収を必要とする。特に食後、胃内の金属異物を把持回収するのは極めて困難であるが、内視鏡マグネット把持鉗子により容易に回収できる。 

【従来技術・競合技術との比較】

既存の鉗子の先端部位には磁力は無く、滑りやすい金属を把持するのは極めて困難であり、食後の胃内の金属異物を把持回収するのは至難の業である。本技術は、把持部位に磁性をもたせ、金属異物の除去を容易にする。さらに、把持損じた場合にやり直しできるように、帯磁性の線材を電磁式で開閉操作できる鉗子も考案した。

【新技術の特徴】

金属の形態によらず把持回収が可能
把持部位に永久磁石を利用
電磁式による把持部開閉が可能
【想定される用途】
既存の内視鏡に搭載して消化管内の金属異物を除去
マグネット鉗子単体で消化管内の金属異物を除去
医療以外の工業用途(金属の遠隔把持)
 
   お問合先

 島根大学の発表については産学連携センター連携企画推進部門(担当:服部)にお問い合わせください

 〒690-0816 松江市北陵町2  TEL:0852-60-2290

 E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp  URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/