山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会
  New Technology Presentation Meetings!

島根大学産学連携センター


ライフサイエンス

材 料

シーズ発表の様子

 7月12日(金)に,グランキューブ大阪において,「山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会」が開催されました。新技術説明会は,大学や公設試験研究機関等から生まれた研究成果の実用化を促進するために開催される(独)科学技術振興機構の事業であり,山陰地域の大学,公設試験研究機関が連携して開催するのは,今年度で7回目になります。

 昨年度までは東京で開催しておりましたが,今回は初めて大阪で開催し,ライフサイエンスと材料をテーマに,島根大学,鳥取大学,島根県産業技術センター,鳥取県産業技術センター,島根県保健研究科学研究所から計10件の新技術の発表が行われました。

竹内 潤 理事(学術・国際担当)
・副学長による挨拶

 本学からは,教育学部の西山 桂 准教授による「希土類―ゲル複合材を用いた可視光発光カラーチューニング材料の開発」,総合理工学研究科の藤田恭久 教授による「低コスト酸化亜鉛ナノ粒子塗布型発光ダイオード」,総合理工学研究科の笹井 亮 准教授による「ネオジム磁石廃材からのネオジムを選択的に回収できる非加熱回収技術の開発」,以上の3件の新技術の発表が行われました。

 当日は,関西圏を中心に約90名の参加者が集まり,山陰発の新技術に熱心に耳を傾けられていました。また,各発表の終了後には,会場外のポスターの前での名刺交換が行われ,民間企業等からの具体的な相談について,担当コーディネータも交えた協議が行われました。

 山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会では,2007年度から昨年度開催までに,本学から,計21件の新技術が発表されました。このうち,新技術説明会での発表がきっかけとなり,共同研究契約や実施許諾契約等の具体的な連携に繋がったものは,計8件あります。今回発表された新技術3件についても,具体的な連携につながるように,産学連携センターとして積極的にサポートをしていく予定です。

発表の終了後の名刺交換

発表シーズのポスター展示

 

日時

  平成25年7月12日(金)10:30〜17:00
主催 国立大学法人鳥取大学,国立大学法人島根大学
地方独立行政法人鳥取県産業技術センター,島根県産業技術センター
    島根県保健環境科学研究所,独立行政法人科学技術振興機構

共催

  中国地域産学官連携コンソーシアム

後援

  鳥取県,島根県,公益財団法人鳥取県産業振興機構
  公益財団法人しまね産業振興財団一般財団法人大阪科学技術センター
    独立行政法人中小企業基盤整備機構,全国イノベーション推進機関ネットワーク

島根大学の技術シーズ発表

材 料

(14:55〜15:25)

 希土類-ゲル複合材を用いた可視光発光カラーチューニング材料の開発

  教育学部 自然環境教育講座 西山 桂 准教授

新技術の概要

紫外線励起により,任意の可視域波長で発光する,希土類ソフトマテリアル発光体を創製した。この発光体は,希土類錯体を,オルガノゲル(小さな有機分子が自己組織化によりスタックしたゲル)中に,従来材料よりも高濃度(〜8倍)で分散させることにより実現できた。

【従来技術・競合技術との比較】

発光体の分散媒体には,希土類錯体を高濃度で配列でき,しかも成型が容易なオルガノゲルを使用した。錯体とゲルとが相互作用しないので,色純度の高い,シャープな色合いの発光体を開発できた。もともとの輝線の中間色は,カラーチューニングにより任意の発光波長を実現した。

【新技術の特徴】
従来の無機発光体(LED等)では到達していない波長で発光
ソフトマテリアル発光材料 〜ゼリーのように柔らかくて,可視光の任意の波長で光る材料〜
低負荷な合成プロセス 〜穏和な条件下(圧力・温度)にて合成可能なゲル〜
【想定される用途】
発光素子・装飾品・照明素材
塗布型の発光材料
偽造防止発光材料(太陽光のもとでは透明で,紫外線照射時のみに発光)
【関連情報】
展示品あり(説明会当日サンプル展示予定)

材 料

(15:55〜16:25)

 低コスト酸化亜鉛ナノ粒子塗布型発光ダイオード

   総合理工学研究科 機械・電気電子工学領域 藤田恭久 教授

新技術の概要

p型酸化亜鉛ナノ粒子をn型酸化亜鉛上に塗布することにより低コスト紫外線発光ダイオードを作製できる。これに異なる光学特性をもつナノ粒子を加えることにより可視光発光を可能とする。

【従来技術・競合技術との比較】

単結晶を用いた従来の発光ダイオードに比べ,蛍光体が不要で大面積化も容易であるなどの利点があり,低コスト照明装置として利用できる可能性が高い。

【新技術の特徴】
単結晶やエピタキシャル成長技術,蛍光体が不要であり,従来に比べ低コストな発光ダイオードである
基板を選ばす大面積化やフレキシブル化が可能である
指向性がなく,透明な発光体とすることも可能である
【想定される用途】
照明装置
バックライト
表示灯
【関連情報】
外国出願特許あり

材 料

(16:25〜16:55)

 ネオジム磁石廃材からのネオジムを選択的に回収できる非加熱回収技術の開発

   総合理工学研究科 物理・材料科学領域 笹井 亮 准教授

新技術の概要

本技術は,各種小型高機能モーターに必要不可欠なネオジム磁石の製造に必須となるネオジム資源を,加温脱磁したネオジム磁石廃材に湿式ボールミル法を適用することで,非加熱でネオジムを工業利用可能な化学形態であるシュウ酸ネオジムとして回収できることを明らかにしたものである。

【従来技術・競合技術との比較】

ネオジム磁石廃材からのネオジム等の回収技術としては,塩化物揮発法などの冶金的な手法,水熱処理法やキレートを用いて化学処理法などが従来より報告・提案されているが,これらはすべて消費エネルギーや処理コストの面で問題を抱えている。それに対して本技術は加熱を必要としないため,これらの問題点を解決できる可能性持っている。

【新技術の特徴】
反応溶媒を用いた湿式ボールミル処理による非加熱型レアメタル回収技術
添加する溶媒により素材の溶解と目的とする金属の選択的析出を制御
素材の粉砕のみではなく力学的エネルギー印加による化学反応の促進
【想定される用途】
ネオジム磁石廃材からのネオジムなどレアメタル回収
有価資源含有廃材からの選択的有価元素回収
【関連情報】
希望の廃材の処理を試験的に行うことは可能

お問合先

  島根大学産学連携センター連携企画推進部門(担当:丹生)
   

〒690-0816 松江市北陵町2

TEL:0852-60-2290 

E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp

URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/