浜田市・島根大学生物資源科学部共同研究事業
 「カレイの成分分析と旬」報告会

島根大学産学連携センター  


「カレイの成分分析と旬」報告会が浜田市にて開催されました

報告会の様子

 平成25年7月29日(月)に,浜田合同庁舎において,浜田市・島根大学生物資源科学部共同研究事業「カレイの成分分析と旬」報告会が開催されました。

 報告会では,島根県水産技術センター利用化学科の井岡 久 科長による「季節の違いによる浜田産カレイ類の成分特性」の報告の後,生物資源科学部の古田賢次郎 助教と秋廣高 志助教から,「カレイの旬と成分特性について―脂肪酸組成分析・遊離アミノ酸分析―」と題した報告が行われました。

 古田助教と秋廣助教による研究チームは,産卵前(10月)と産卵後(1月,2月)で,カレイにどのような変化が起こるのか明らかにすることを目的に,ムシガレイ(ミズガレイ),ヤナギムシカレイ(ササガレイ),ソウハチ(エテガレイ)の3種を対象に分析を行いました。産卵前と産卵後では,粗脂質及び総タンパク質量が減少し,水分含量が増加した傾向が見られ,3魚種ともに,産卵後には,飽和脂肪酸及びオレイン酸の量が急速に減少したことが示されました。まとめとして,カレイの最も美味しい「旬」の時期の選定にあたっては,水分含量と,飽和脂肪酸及びオレイン酸の割合が一つの指標となる可能性があることを示しました。また,カレイには,甘み成分のアミノ酸であるグリシン,アラニン,リシンが豊富であり,これらのアミノ酸がカレイの美味しさを左右する成分である可能性についても示唆しました。

古田助教

 島根県は,カレイ塩干品の生産量が全国第1位であり,5割近いシェアを占めています。浜田市のカレイは,「どんちっち3魚」の一つとして馴染みの深い魚ではありますが,現在まで,カレイの科学的な分析はほとんど行われてきませんでした。今回の分析結果が,浜田市のカレイ加工製品の付加価値アップに向けて,基礎データになることが期待されます。秋廣助教も,「データを実際の商品開発に活かしたい。加工事業者さんとタッグを組んで,浜田のカレイを盛り上げていきたい」と話されていました。

秋廣助教

 浜田市と島根大学とは,平成20年〜平成22年度に実施された経済産業省の産学連携人材育成事業「水産資源を中心とした地域食材の発掘と高付加価値食品の開発人材育成プログラム」によって連携が始まりました。平成22年10月には,本学生物資源科学部と浜田市との間で包括的連携協定が締結され,平成22年度,平成23年度と「人材育成講座」を開講,平成23年3月には,産学連携センターによる企画として「食品分野研究シーズ発表会in浜田」を開催し,浜田地域における産学官交流を進めて参りました。

 産学連携センターでは,今後も地元の自治体や産業界と連携した取り組みを積極的にサポートして参ります。


お問合せ先

島根大学産学連携センター 連携企画推進部門 丹生晃隆 たんしょうてるたか 准教授
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