食品分野研究シーズ発表会in平田
  Food-related Research&Seeds Presentation Meetings in Hamada

島根大学産学連携センター  


発表の様子

 平成25年3月8日(金)に,出雲市平田町の割烹温泉「ゆらり」において「食品分野研究シーズ発表会in平田」が開催されました。

 本発表会は,島根県,公益財団法人しまね産業振興財団,本学,以上の3機関による主催事業として開催され,一昨年度の浜田,昨年度の大田での開催に続き,今回が3回目となり,島根の食品関連分野における産学官のさらなる交流を図るため,その素材となる最新の研究成果や事例が発表されました。

 研究シーズ発表は,本学から生物資源科学部3件,医学部1件の計4件に加えて,島根県立大学短期大学部からも2件発表していただきました。

 生物資源科学部の江角准教授は,「柿の品種と種なし果実生産」をテーマに,平田地域にとって縁も深い西条柿について,柿の新品種開発の動向や,種なしの西条柿清算の可能性について発表されました。

 本学2番目の発表として,生物資源科学部の松本准教授は,をテーマに発表されました。水質浄化のために回収される中海の海藻や木質バイオマスの燃焼灰にはカリウムが多く含まれることから,これらの未利用資源をカリウムの代替肥料として再利用する地域循環システムの構築について提案されました。

竹内 潤 理事(学術・国際担当)
・副学長による主催者挨拶

 本学3番目の発表として,医学部の川内教授は,「花粉症の症状を軽くする機能性食品の研究開発の動向」をテーマに,今や国民病とも呼ばれるようになったスギ花粉症を軽減するための様々な機能性食品の開発動向や,現在取り組まれているスギ花粉症治療米の研究について発表されました。

 最後の発表として,産学連携センター地域共同研究部門長・生物資源科学部の佐藤教授は,「地域素材・未利用素材を活用した商品開発の戦略について―栃木県の支援事例から―」をテーマに,経済産業省の専門家派遣事業によるご自身の支援事例として,栃木県大田原市のトウガラシやおから,酒粕を組み合わせた新商品の開発戦略について,島根県内の事例も踏まえて発表されました。

 当日は,地元の平田地区や島根県西部を中心に,食品に関わる企業の方々,周辺自治体や経済団体の関係者の方々にも多数お集まりいただきました。食品関連分野における大学の研究に対する期待は大きく,参加者90名と大変盛況でした。

 開催にあたり,ご協力をいただいた平田商工会議所をはじめとする関係者の皆様,貴重な研究成果を発表していただいた島根県立大学の赤浦教授,籠橋准教授,地元の出雲茶の事例を発表いただきました株式会社出雲精茶の米山社長に改めて御礼申し上げます。

 産学連携センターでは,地元のニーズ等を踏まえながら,今後もシーズ発表会の開催を検討していく予定です。

 各研究シーズについては,それぞれの発表機関宛に直接お問い合わせください。


日時・会場

  平成25年3月8日(金) 発表会 : 14:00〜17:40 情報交換会 : 17:45〜19:15
   割烹温泉ゆらり 食堂ホール

主催

  国立大学法人島根大学,島根県,公益財団法人しまね産業振興財団

共催

  平田商工会議所

後援

  出雲市,島根県食品工業研究会

プログラム

開会挨拶 (14:00-14:10)

   島根大学 竹内 潤 理事(学術・国際担当)副学長

発表シーズ1「柿の品種と種なし果実生産」 (14:10-14:30)

島根大学生物資源科学部 農林生産学科 江角智也 准教授

発表概要 種(たね)が入っていない果実は食べやすく,また加工しやすいため重宝されます。我が国には果実中に全く種を形成しない柿の品種がいくつかありますが,西条柿では数個の種が入っている場合が多いと思います。現在,種なしの果実を生産するための新技術や新品種が色々と開発されています。細胞核内の染色体の本数を奇数にすることは,そのような品種開発のひとつの手法です。多様な遺伝系統がある西条柿において,種なしの果実をつける系統の作出を目指して研究を進めています。

発表シーズ2「未利用果実を用いた西条ガキ熟柿の生産と利用と」 (14:30-14:50)

   島根県立大学短期大学部 健康栄養学科 赤浦和之 教授

発表概要 西条ガキ熟柿ピューレは西条ガキ熟柿を原料として作られる。その最大の特徴は,一般のカキピューレでは起こりやすい渋戻りが起こりにくいことであり,加熱を伴う食品加工では有用性が大きい。これまで合わせガキや干し柿には使用できなかった未利用果実から熟柿をつくることが可能かどうかについて検討した結果,ピューレ原料に使える熟柿が得られた。その生産方法およびその熟柿からつくったピューレを使った食品開発について発表しました。

発表シーズ3「飼料米を給与した「しまね和牛」の肉質分析」 (14:50-15:10)

   島根県立大学短期大学部 健康栄養学科 籠橋有紀子 准教授

発表概要 平成18年度から島根県畜産技術センターとの共同および受託研究において,「しまね和牛」のおいしさに関わる要因を探っています。平成22-23年度には,飼料米を給与したしまね和牛肉について,健康栄養学科学生全員が参加のもと,おいしさを構成する要素を実際に食べて評価する,、官能試験を行いました。また,しまね和牛肉に含まれる成分分析や,骨格筋の構造についての組織化学的評価を行い,食感の違いについても検討しました。本発表では,飼料米を給与した「しまね和牛」の肉質を様々な手法において分析した結果を紹介しました

発表シーズ4「代替カリ肥料原料としての海藻と木質バイオマス燃焼灰の利用可能性」 (15:10-15:30)

島根大学生物資源科学部 附属生物資源教育研究センター 松本真悟 准教授

発表概要 我が国の年間肥料使用量は,窒素が542,000t(N),リン酸が380,000t(P2O5)であるのに対し,カリは569,000t(K2O)となっており,肥料の三要素の中で最も需要が多い。しかしながら,カリ肥料の原料となるカリ鉱石は全量輸入に依存しているのが実情である。一方,水質浄化のために回収される中海の海藻や木質バイオマス燃焼灰にはカリが高濃度に含まれており,このような廃棄物を代替カリウム源として再利用できるシステムを開発すれば,カリ肥料の安定供給だけではなく,地域の産業振興にも貢献できると考えられる。

名刺交換会1(休憩) (15:30-15:45)
「出雲産煎茶の存続とブランドの確立に向けて」 (15:45-16:05)

   株式会社出雲精茶 米山 弘 代表取締役

発表概要 出雲地域は全国でもトップクラスの煎茶の消費地です。一人当たりの緑茶消費金額は常にトップ5に入ります。その為,出雲地域は大産地では有りませんが,多くの茶商が存在しています。地元産の煎茶は「出雲銘茶」として古くから地元の方に愛飲されてきました。しかし,生産者の高齢化,茶販売価格に低迷により,地元産煎茶の生産量は低下し,茶商は「出雲銘茶」の称号を外し静岡産・鹿児島産の煎茶を原料としての販売に切り替わりました。出雲の文化である「出雲銘茶」を守るためのプロジェクトについて紹介しました。

「県内産業界との産学官連携に向けて」 (16:05-16:20)

   島根大学産学連携センター 丹生晃隆 准教授

発表概要 地元の産業界との接点をもっと増やすことはできないだろうか,新商品や新技術の開発において,大学の「知」をもっと活用いただけないだろうか…日々考えながらコーディネート活動に携わっています。産学官連携に向けて,その入り口になるのは,まず大学に「相談」をしていただくことです。ただ,大学にも得意なこと・不得手なことがあり,共同研究等の具体的な「連携」となるまでには,いくつかのステップがあります。大学との連携による新商品開発や課題解決に向けて,具体的なご相談をいただくための一助となるように,日々のコーディネート活動の経験から分かりやすくご説明しました。

「しまね産業振興財団の事業概要」 (16:20-16:35)

   公益財団法人しまね産業振興財団 技術支援課 清水陽介 主事

発表概要 公益財団法人しまね産業振興財団は,県内企業の競争力強化を通じて県勢の拡大を目指す総合的産業支援機関です。当財団では,経営・金融・販売・技術・知的財産・貿易などの専門ノウハウを活用し,様々な分野において県内企業や創業者の方々をサポートしています。本発表会では,特に食品産業分野に従事していらっしゃる皆様にご活用して頂ける支援メニューをご紹介しました。

発表シーズ5「花粉症の症状を軽くする機能性食品の研究開発の動向」 (16:35-16:55)

島根大学医学部 耳鼻咽喉科学 川内秀之 教授

発表概要 スギ花粉症は,その有病率の増加からいまや国民病と呼ばれるようになった鼻粘膜のI型アレルギー疾患である。スギ花粉飛散シーズンの患者の鼻症状や眼症状は,生活の質や労働生産性を大きく低下させることがわかっている。スギ花粉の回避や,初期療法を含めた薬物療法さらには免疫療法により,患者の症状を充分に緩和させることができる。一方で,予防効果や治療効果を目的として,機能性食品を用いた花粉症症状の緩和の研究も行われている。今回,農水省のアグリヘルスプロジェクトで行っている“米を食べて花粉症を治そう”というスギ花粉症治療米の研究を中心に,機能性食品の研究開発の動向について報告しました。

発表シーズ6「地域素材・未利用素材を利活用した商品開発の戦略について―栃木県の支援事例から―」

島根大学産学連携センター地域産業共同研究部門長・生物資源科学部 佐藤利夫 教授

(16:55-17:25)

発表概要 地域の素材(特産品)や食品関係の未利用素材(副産物)を利活用して商品開発を行う戦略について,経済産業省の専門家派遣事業による支援依頼を受けて実施した「フードバレー栃木構想:未利用素材活用研究分科会 第1回活用推進セミナ−」の事例を紹介しました。具体的には大田原市特産の「トウガラシ」と未利用資源である「おから」,「酒粕」を組み合わせて商品開発を行う戦略構築に関する事例であり,なぜ,このような動きが全国各地で活発になっているのか?という背景も含めて島根県においても参考になればと思いお話させて頂きました。

閉会挨拶 (17:25-17:30)
名刺交換会2(休憩) (17:30-17:40)
情報交換会 (17:45-19:15)

お問合せ先

 島根大学の発表シーズについて

国立大学法人島根大学 産学連携センター
連携企画推進部門 丹生晃隆 たんしょうてるたか 准教授
〒690-0816 島根県松江市北陵町2番地
TEL:0852-60-2290 E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp

 島根県立大学の発表シーズについて

公立大学法人島根県立大学
短期大学部 松江キャンパス 健康栄養学科 名和田C子 なわたきよこ 学科長,教授
〒690-8518 島根県松江市浜乃木7-24-2
TEL:0852-20-0239 E-mail:k-nawata@matsue.u-shimane.ac.jp

 食品分野研究シーズ発表会in平田について

公益財団法人しまね産業振興財団
技術支援課 清水陽介 主事
〒690-0816 島根県松江市北陵町1番地
TEL:0852-60-5112 E-mail:sat@joho-shimane.or.jp

 

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