0.      山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会
  New Technology Presentation Meetings!

島根大学産学連携センター

 医療・バイオ   アグリ・環境   材料・化学   情報・光応用 

 7月13日(金)に,(独)科学技術振興機構(JST)の東京別館ホールにおいて,「山陰(鳥取・島根)発 新技術説明会」が開催されました。

 新技術説明会は,大学や公設試験研究機関等から生まれた研究成果の実用化を促進するために開催されるJSTの事業であり,山陰地域の大学,公設試験研究機関が連携して開催するのは,今年度で6回目になります。

 今回は,島根大学,鳥取大学,島根県産業技術センター,鳥取県産業技術センターから,医薬・バイオ,アグリ・環境,材料・化学,情報・光応用の4分野から計10件の新技術の発表が行われました。

 本学からは,医学部の加藤太陽助教による「分子相互作用のリアルタイムな可視化」,生物資源学部の秋廣高志助教による「放射性セシウムを吸収しない作物や野菜の研究・開発」,総合理工学研究科の山田容士教授による「酸化亜鉛・酸化チタン系透明導電膜の低抵抗化技術」と平川正人教授による「水とのふれあいが実現する新しいコミュニケーション−魅せる対話型インタフェース−」,以上の4件の新技術の発表が行われました。

 当日は,関東圏を中心に約100名の参加者が集まり,山陰発の新技術に熱心に耳を傾けられていました。

竹内 潤 理事(学術・国際担当)
・副学長による主催者挨拶

 また,各発表の終了後には,展示ブースの前での名刺交換や個別相談会も設けられ,民間企業等からの具体的な相談について,担当コーディネータも交えた協議が行われました。

 新技術説明会のような県外の発表機会は非常に重要であり,来年度も継続して開催していく予定です。

相談者との名刺交換

島根大学産学連携センターの展示ブース


日時

  平成24年7月13日(金)10:30〜17:00

会場

  JST東京別館ホール(東京・市ヶ谷)
主催 国立大学法人鳥取大学,国立大学法人島根大学
地方独立行政法人鳥取県産業技術センター,島根県産業技術センター
     独立行政法人科学技術振興機構

共催

  中国地域産学官連携コンソーシアム

後援

  鳥取県,島根県,公益財団法人鳥取県産業振興機構
  公益財団法人しまね産業振興財団独立行政法人中小企業基盤整備機構
    全国イノベーション推進機関ネットワーク

島根大学の技術シーズ発表

 医療・バイオ 

(11:10〜11:40)

 実分子相互作用のリアルタイムな視覚化
  医学部 医学科 加藤太陽 助教 研究シーズ

新技術の概要

蛍光標識された遊離の分子とビーズに固定化した分子との相互作用をリアルタイムに可視化することで,相互作用の程度を高感度に短時間で評価できる。
【従来技術・競合技術との比較】

古典的な手法であるプルダウン法に比べて短時間かつ高感度でタンパク質相互作用を検出できる。表面プラズモン共鳴現象を用いた高価な機器と技術的に競合するが,本技術は極めて安価に設備を整えることができる。

【新技術の特徴】
相互作用をリアルタイムに,視覚的に感じることができる
既存の蛍光顕微鏡を利用することにより,設備投資を抑えることができる
大腸菌で発現させることにより,試料となる蛍光標識タンパク質を安価に大量に生産できる
【想定される用途】
分子間相互作用の評価
タンパク質の機能を阻害あるいは促進する化合物のスクリーニング
分子の相互作用を短時間で実感できる実習教材
【関連情報】
展示品あり(顕微鏡による蛍光イメージングに利用するマイクロ流露をご覧いただく予定です
 アグリ・環境 

(13:40〜14:10)

 放射性セシウムを吸収しない作物や野菜の研究・開発
   生物資源科学部 生物科学科 秋廣高志 助教 研究シーズ

新技術の概要

放射性セシウムを吸収しない作物を作出するために,セシウム輸送体の探索を行い,候補となる輸送体の単離・同定に成功した。この輸送体を欠損した作物はセシウムを吸収できないものと考えられる。
【従来技術・競合技術との比較】

セシウムの吸収メカニズムは未だ不明な点が多く,汚染土壌で栽培しないことが最良の方法であると考えられている。しかし,それだけでは風評被害を無くすことはできず,農業復興の妨げとなっている。

【新技術の特徴】
セシウムの輸送体を特定できれば吸収しない作物だけでなく,高吸収する環境浄化植物を作ることもできる。
セシウム輸送体を特定することでセシウムを吸収しない栽培技術の開発にも応用できる。
【想定される用途】
DNAマーカーを用いたマーカー育種
植物を用いた土壌の浄化技術(ファイトレメディエーション)への応用
セシウムを吸収しない作物を原発保有国の安全保障として開発し,保有する。
 
 材料・化学 

(14:10〜14:40)

 酸化亜鉛・酸化チタン系透明導電膜の低抵抗化技術
   総合理工学研究科 物理・材料科学領域 山田容士 教授 研究シーズ

新技術の概要

酸化亜鉛(ZnO)系透明導電体とNbドープの酸化チタン(TiO2)を複合化させることで,単体よりも低抵抗の膜が得られる。これにより,ITO代替材料としてのZnO膜の低抵抗化や過酷使用条件への適応がはかれる。
【従来技術・競合技術との比較】

高特性を得るために作製条件の制御が必要なZnO系透明導電膜を,厳密なチューニングなしに低抵抗化することが出来る。また,ITOなどの透明導電膜と比べて,高温・酸化雰囲気でのプロセス耐性にすぐれる。

【新技術の特徴】
ZnO系・TiO2系透明導電膜の低抵抗化
高い化学的耐性
作製プロセスチューニングの簡便性
【想定される用途】
一般的な透明電極(タッチパネル,太陽電池など)
過酷環境下での透明電極(溶液中)
【関連情報】
サンプルの提供可能
展示品あり(ガラス基板上に形成した透明導電膜の小片)
 
 情報・光応用 

(16:00〜16:30)

 水とのふれあいが実現する新しいコミュニケーション −魅せる対話型インタフェース−
   総合理工学研究科 情報システム学領域 平川正人 教授 研究シーズ

新技術の概要

これまでにない新しい情報付加価値型機器として,水を蓄えた容器に挿入された手指足等の3次元位置を取得し,検知内容に応じてコンテンツを表示させる一連の対話機能を有した装置を紹介する。
【従来技術・競合技術との比較】

マイクロソフト社のKinectなど,3次元動作認識装置は急速に普及しつつあるが,本研究では触覚を通して身体へのフィードバックが提供されるという点で優位である。また,水を媒体とする対話装置の実現は,楽しさや驚きといったこれからのシステム開発に欠かせない要素を提供する。

【新技術の特徴】
水中での物体(手指足等)の3次元位置や動きを獲得することが可能
空中でのジェスチャ操作と違い,触覚を通したフィードバック提示による高リアリティの達成
水中での身体動作は利用者に適度な負荷を課したり,また伝熱効果をもたらすことも可能
【想定される用途】
エンターティンメント/観光
風呂(足湯),水周り機器
リハビリテーション
 

お問合先

  島根大学産学連携センター連携企画推進部門(担当:丹生)
   

〒690-0816 松江市北陵町2

TEL:0852-60-2290 

E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp

URL:http://www.crc.shimane-u.ac.jp/