島根大学産学連携センター
Collaboration Center,Shimane University

イノベーション・ジャパン2012−大学見本市

産学官連携推進会議<第11回>


 
イノベーション・ジャパン2012

 大学と産業界が持つ技術シーズとニーズの発見・出会いを目的とした国内最大級のマッチングイベントである「イノベーション・ジャパン2012−大学見本市」と,科学技術における産学官連携を推進する学術会議である「産学官連携推進会議<第11回>」が,平成24年9月27日(木)と28日(金)に東京国際フォーラムにおいて,連携して同時に開催されました。

 「イノベーション・ジャパン2012−大学見本市」では,情報通信,ライフサイエンス,医療,装置・デバイス,ナノテクノロジー,環境保全・浄化,低炭素・エネルギー,マテリアル・リサイクル,シニアライフ(高齢社会),防災の計10分野から300件の大学研究最先端シーズが展示説明され,各大学の研究シーズや産学連携への取り組みの一端を感じることができました。
 島根大学からは,大学院総合理工学研究科の藤田恭久教授が,「超低コスト酸化亜鉛ナノ粒子塗布型紫外線LEDの開発」について研究シーズを紹介しました。企業を中心に多くの方に興味を持っていただけて,PRすることが出来ました。

産学官連携推進会議<第11回>

 今回で第11回となる「産学官連携推進会議」は,第4期科学技術基本計画が目指すわが国の技術イノベーションの実現に向けて,「我が国の未来のイノベーションを支える科学技術の推進」をテーマに開催され,様々なイノベーションについての特別講演と特別報告が各2件あり,事例や課題などを紹介されました。パネルディスカッションでは,「課題解決イノベーション」について,それぞれの専門家の立場から議論が交わされ,共通認識やビジョンの共有などが欠如していることや,高度な知識社会の中で何をしていくかという意識の不足など,今後のイノベーション創出の課題や問題点が指摘されていました。

 島根大学からは他に,竹内潤副学長,村上賀章学術国際部長が,また,産学連携センターの阿久戸敬治教授,北村寿宏教授,中村守彦教授,丹生晃隆准教授,小金民造客員教授が参加し,産学連携の最近の動向や企業ニーズの調査などを行うと共に,他大学の産学連携従事者と意見交換を行いました。

【日 時】 平成24年9月27日(木)9:30〜17:30,28日(金)10:00〜17:00
【会 場】 東京国際フォーラム(東京・有楽町)
【主 催】 イノベーション・ジャパン2012:(独)科学技術振興機構,(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構
産学官連携推進会議<第11回>:内閣府,総務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,他
【島根大学からの出展(イノベーション・ジャパン2012)】

iナノテクノロジー分野

大学院総合理工学研究科 機械・電気電子工学領域 藤田恭久 教授

研究シーズ:「超低コスト酸化亜鉛ナノ粒子塗布型紫外線LEDの開発」

http://www.ij2012.net/innovation-japan2012/ij/exhibitor_detail.php?id=10064

技術の概要

発光ダイオードは照明装置の代替えとして期待されていますが,単結晶基板上のエピタキシャル薄膜を用いるためコストが高いことが一般用照明装置として普及させるための最大の問題でした。島根大学ではアクセプタとして働く窒素をドープしp型の特性を示す酸化亜鉛ナノ粒子を独自に開発しました。これをn型酸化亜鉛薄膜上に塗布することにより紫外線発光する塗布型発光ダイオードを世界で初めて開発しました。ガラス基板上に窒素ドープZnOナノ粒子を塗布する構造のため,単結晶基板やエピタキシャル成長が不要で,素子部のコストは1/100以下となります。これにより蛍光灯より低コストな固体照明装置の実現が期待できます。

技術の特徴

減圧空気中でガス中蒸発法を用いアクセプタである窒素をドープした酸化亜鉛ナノ粒子を発光ダイオードのp型層として用います。従来の発光ダイオードは高価な単結晶基板上のエピタキシャル成長薄膜を用いる必要がありましたが,本技術では単結晶基板が不要でナノ粒子を塗布して発光層を形成することができます。ガラス基板やプラスチック基板を用いることができるため発光ダイオードの低コスト化が可能です。また,光取り出し効率が高いこと,分散化で放熱で有利であること,面発光が可能なことなどの特徴もあります。

企業に期待するもの

粒子製造の歩留り向上や電極抵抗の低減など本技術の実用化に必用な共同研究を期待します。

展示の見どころ

一窒素ドープ酸化亜鉛は亜鉛を空気中でアーク放電により加熱させて蒸発させる方法で生成します。低純度の亜鉛と部屋の空気からも生成できる安価な材料です。この窒素ドープ酸化亜鉛ナノ粒子の製造法から,ナノ粒子塗布型LEDの作製法までビデオで紹介します。また,窒素ドープ酸化亜鉛ナノ粒子と塗布型LEDの実物を展示し,発光の様子をご覧いただきます。

マッチングを想定する業界

素材,化学,デバイス,電気機器,各種アプリケーション,研究機関など

産業界へのアピールポイント

本技術は,高品質な単結晶薄膜を必用とした従来の発光ダイオードの常識を覆したものです。イノベーションの可能性をもった技術です。

想定される用途

一般照明装置,表示機器,バックライト,電飾,光触媒用光源など

関係する助成制度(採択済み)

文部科学省 地域イノベーション戦略支援プログラム(都市エリア型)(H21〜23年度)

従来技術に対する新規性・優位性する

従来型LEDによる白色照明における高コスト,低光取り出し効率,放熱,指向性の問題を解決できます。また,面上発光やフィルム状の発光素子など新しい機能を発揮できます。

実用化に向けた課題

発光する粒子は高輝度ですが,発光する粒子が少ないため,全体の発光強度が強くありません。粒子の特性の均一性を上げることが課題です。

新技術に関する知的財産権

発明の
名称
酸化亜鉛超微粒子および酸化亜鉛超微粒子の製造方法   発明の
名称
酸化亜鉛系発光素子   発明の
名称
発光素子及びその製造方法
出願人 島根大学長 出願人 島根大学長 出願人 島根大学長
発明者 藤田恭久 発明者 藤田恭久 発明者 藤田恭久
出願日 2003年8月8日 出願日 2007年3月29日 出願日 2012年2月23日
出願番号 特願2003-290248  出願番号 特願2007-086470 出願番号 特願2012-037567

 右側:総合理工学研究科 藤田恭久教授

中央:総合理工学研究科 藤田恭久教授

 左側:産学連携センター 北村寿宏 教授 右側:総合理工学部 ワン モハマド ハフィズディン ビン ワン マンソールさん
左側:総合理工学部 上代宏樹さん

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