食品分野研究シーズ発表会in大田
  Food-related Research&Seeds Presentation Meetings in Hamada

島根大学産学連携センター  


 平成24年3月9日(金)に,大田市の島根県立男女共同参画センター「あすてらす」において,島根県,公益財団法人しまね産業振興財団,島根大学の3機関による主催事業として,「食品分野研究シーズ発表会in大田」を開催しました。

 本発表会は,昨年度の浜田市での開催に続き2回目となります。島根の食品分野における産学官のさらなる促進を図るため,その材料や素材となる最新の研究成果,研究シーズの発表を,本学(生物資源科学部2件,教育学部1件,医学部1件の計4件)に加えて,島根県立大学,広島大学,鳥取大学からも発表していただきました。

 本学からの発表は,先ず生物資源科学部の門脇助教が,「サツマイモの栽培,利用の現状と今後の可能性」をテーマに,大田市にとって縁も深いサツマイモの品種や栽培方法についての最新情報や,島根大学焼酎「神在の里」をはじめとする大学の取り組み,作物としての今後の可能性について発表しました。

 続いて教育学部の鶴永准教授が,「タンニンの反応性を利用した加工品開発の可能性〜西条柿を例として〜」をテーマに,柿に含まれるタンニン(柿渋)とタンパク質の結合性を利用した加工食品開発の可能性について発表しました。

 本学3番目の発表として,生物資源科学部の小林教授が,「島根県特産のハマダイコン新品種『出雲おろち大根』の育成と地域普及」をテーマに,大学が選抜育種した「出雲おろち大根」の栽培状況や食材としての展開,今後の全国に向けた取り組みについて発表しました。

 最後の発表として,医学部附属病院 臨床栄養部の川口副部長が,「病院給食を通し地域患者の食に求められることを考える」をテーマに,地域食材を取り入れた「バランス弁当」開発や,地元の素材活用の取り組みについて発表しました。

 当日は,地元大田市を中心に,食品に関わる企業の方々,周辺自治体や経済団体の関係者の方々にも多数お集まりいただきました。食品分野における大学の研究に対する期待は大きく,参加者84名と大変盛況でした。また,発表会終了後の交流会には,JR大田市駅前のアンテナカフェ「ハレの日」さんにプロデュースしていただき,大田の「食」を参加者で楽しみました。

 開催にあたり,ご協力をいただいた大田市,大田商工会議所,島根県食品工業研究会をはじめとする関係者の皆様,貴重な研究成果を発表していただいた島根県立大学の名和田教授・学科長,広島大学の川井講師,鳥取大学の薮田准教授にも改めて御礼申し上げます。

 各研究シーズについては,それぞれの発表機関宛に直接お問い合わせください。


日時・会場

  平成24年3月9日(金) 発表会 : 14:00〜17:55 交流会 : 18:00〜19:30
   島根県立男女共同参画センター「あすてらす」 3階 研修室1・2・3

主催

  国立大学法人島根大学,島根県,財団法人しまね産業振興財団

共催

  大田市

後援

  大田商工会議所,島根県食品工業研究会,中国地域産学官連携コンソーシアム

プログラム

開会挨拶 (14:00-14:10)

   島根大学 理事(学術・国際担当)副学長 柴田 均

発表シーズ1「サツマイモの栽培,利用の現状と今後の可能性」 (14:10-14:30)

   島根大学 生物資源科学部 農業生産学科 門脇正行 助教

発表概要:

 「芋代官」井戸平左衛門ゆかりの大田はサツマイモに縁のある地域です。サツマイモは不良環境下でも生育するため,「肥料がいらず,手間のかからない作物」というイメージがありますが,現在では多くの品種が育成され,生育特性や用途は様々です。今回は,サツマイモの品種,栽培方法および利用などについての最新事情や,大学での取り組み(研究成果や島根大学芋焼酎「神在の里」),作物としてのサツマイモの今後の可能性について紹介しました。

発表シーズ2「食品成分の物理的性状変化を理解すればできること」 (14:30-14:50)

   広島大学大学院 生物圏科学研究科 川井清司 講師

発表概要: 
 温度変化を伴う加工過程において,食品成分は相互作用を通じて様々な物理的性状変化(融解,結晶化,水分蒸発,ガラス−ラバー転移など)を示す。これらの変化が品質(食感,消化性,保存性など)に及ぼす影響を解明し,それを制御することで,新たな付加価値を見出すことができる。更に,操作因子として圧力を取り入れることで,その可能性は飛躍的に向上する。本発表では,演者らの研究成果を中心に,その詳細について説明しました。

発表シーズ3「植物由来ポリフェノールのプラーク(歯垢)形成阻害効果」 (14:50-15:10)

   鳥取大学 農学部 生物資源環境学科 薮田行哲 准教授

発表概要:

 虫歯の発症は,Streptococcus mutans(いわゆるミュータンス菌)が作り出す粘着性多糖であるグルカンを主成分とするプラークが大きな原因の一つとして考えられています。私たちの研究室では虫歯予防に効果的な歯磨き粉などを開発するために,S. mutansのグルカンを作る酵素の阻害剤を探しています。本講演では,現在進行中である私たちの研究成果についてポリフェノールによるグルカン形成阻害を中心にお話しました

発表シーズ4「健康栄養学科における地域と連携した「食」の取り組み」 (15:10-15:30)

   島根県立大学 健康栄養学科 名和田C子 教授・学科長

発表概要:

 本学科では,「食」を通して豊かな心と思いやりをはぐくみ,「人々の健康づくり」に貢献できる地域密着型の栄養士の育成をめざしています。島根県は,豊かな自然と農林水産物に恵まれており,各地域の伝統食・郷土食が継承されています。本学科では,地域との交流を積極的に推進し,大学生ならではの視点で,地域食材の利用や加工,郷土料理など,地域の食生活・食文化に関する調査・研究に取り組んでいます。当日は,これらの取り組みについて紹介しました。

名刺交換会1(休憩) (15:30-15:50)
大田市の「食」に関する取り組み (15:50-16:05)

   大田市 産業振興部 大田ブランド推進室 松田秀規 主任主事

県内産業界との産学官連携に向けて (16:05-16:20)

   島根大学産学連携センター 丹生晃隆 講師

しまね産業振興財団の事業概要 (16:20-16:35)

   公益財団法人しまね産業振興財団 技術支援課 清水陽介 主事

発表シーズ5「タンニンの反応性を利用した加工品開発の可能性〜西条柿を例として〜」 (16:35-16:55)

   島根大学 教育学部 人間生活環境教育講座 鶴永陽子 准教授

発表概要:

 植物に含まれるタンニンは,タンパク質と結合しやすい性質を有しています。この性質を利用して,日本酒の澱下げに柿渋(タンニン)が利用されてきました。最近の研究で,タンニンとタンパク質が結合してできる複合体には,タンニンに由来する渋味を低減させる効果や,食品の弾力性を向上させる効果のあることがわかってきました。本発表では,主に西条柿について,タンニンとタンパク質の結合性を利用した加工品開発の可能性について紹介しました。

発表シーズ6「島根県特産のハマダイコン新品種「出雲おろち大根」の育成と地域普及」 (16:55-17:15)

   島根大学 生物資源科学部 農業生産学科 小林伸雄 教授

発表概要:

  「出雲おろち大根」は,出雲地域に自生するハマダイコンを選抜育種により品種改良した辛味大根で,島根大学の育成品種(農林水産省登録品種名:‘スサノオ’,登録番号:第20879号)です。青首大根の3〜5倍の辛味成分イソチオシアネートに加えて旨味があり,「出雲そば」をはじめとして,各種肉・魚料理の薬味に最適です。島根の美味しい食材とのまさに“味の縁結び”,島根大学から発信する『島根ブランド』として,地域ならびに全国レベルでの普及が進行中です。

発表シーズ7「病院給食を通し地域患者の食に求められることを考える」 (17:15-17:35)

   島根大学 医学部附属病院 臨床栄養部 川口美喜子 副部長

発表概要:

 栄養部の目標は「美味しく,安全な食事を提供し,患者さんの栄養状態の適切な評価,個別性を重視した栄養治療の推進」です。食は患者の体と心を癒すことで,治療に貢献できると考えます。食用バラ「さ姫」のバラ水の香り,大社町のメロンやぶどうなどのフルーツバイキング,湖陵のさつま芋のきんとんサービスなど厳しい治療の合間でも患者さんを笑顔にします。今後は機能性食品も求められます。病院栄養士として食材に期待することを提案したいと考えます。

閉会挨拶 (17:35-17:40)

   島根県西部県民センター 楫野弘和 所長

名刺交換会2(休憩) (17:40-17:55)
交流会 (18:00-19:30)

お問合せ先

 島根大学の発表シーズについて

国立大学法人島根大学 産学連携センター
連携企画推進部門 丹生晃隆 たんしょうてるたか 講師・産学連携マネージャー
〒690-0816 島根県松江市北陵町2番地
TEL:0852-60-2290 E-mail:crcenter@ipc.shimane-u.ac.jp

 島根県立大学の発表シーズについて

公立大学法人島根県立大学
短期大学部 松江キャンパス 健康栄養学科 名和田C子 学科長,教授
〒690-8518 島根県松江市浜乃木7-24-2
TEL:0852-20-0239 E-mail:k-nawata@matsue.u-shimane.ac.jp

 広島大学の発表シーズについて

国立大学法人広島大学 産学・地域連携センター
国際・産学連携部門 榧木高男 かやきたかお 産学官連携コーディネーター
〒739-0046 広島県東広島市鏡山3-10-31
TEL:082-421-3631 E-mail:techrd@hiroshima-u.ac.jp

 鳥取大学の発表シーズについて

国立大学法人鳥取大学 産学・地域連携推進機構
知的財産管理運用部門 山岸大輔 副部門長・助教
〒680-8550 鳥取県鳥取市湖山町南4丁目101
TEL:0857-31-6000 E-mail:chizai@adm.tottori-u.ac.jp

 食品分野研究シーズ発表会in大田について

公益財団法人しまね産業振興財団
技術支援課 清水陽介 主事
〒690-0816 島根県松江市北陵町1番地
TEL:0852-60-5112 E-mail:sat@joho-shimane.or.jp

 

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