島根大学 地域共同研究センター
公開講演会 報告
島根医科大学 地域医学共同研究センター 共催


 
題 目 空気マイナスイオンの生体に及ぼす作用
−研究の歴史と最近の動向−
日 時  平成14年7月24日(水) 13時30分 〜 15時30分
場 所  島根厚生年金会館(島根県出雲市)「銀河」の間
講 師    りゅうし   ともお
 琉子 友男 氏
  東京都立大学理学研究科 助教授
内 容  空気イオンの生体に及ぼす影響に関する研究は、主にドイツ、ロシア、日本およびアメリカ合衆国において20世紀初頭から始まった。また、1961年にはアメリカ合衆国において、最初の国際空気イオン学会が開催されたが、これを機にアメリカ合衆国、ロシア、イスラエル、オランダ、イタリアおよびフランスなどの研究者を中心に多くの論文が発表される様になった。
 一方、国内での研究は、戦前に北海道大学医学部と慶応大学医学部を中心に東京慈恵会医科大学、日本医科大学および九州大学医学部などが加わって盛んに行われていたが、戦後これらの大学で行われた形跡はない。しかし、最近では北海道大学医学部や九州大学医学部において、この分野の研究復活の兆しが見え始めている。講演では、我々が今日まで行ってきた研究に加え、主に欧米諸国で発表された研究を概説する.
【参考】PDF形式の印刷用案内書(約160KB)はこちらです.

【当日の模様と講演概要】



当日は,一般市民の方や企業の方などを中心に約110名の参加があった.
 「空気マイナスイオンの生体に及ぼす作用」と題し,研究の歴史と最近の動向を中心に講演された.  空気イオンの研究は,気候変化にともなうい生体反応に関係することからスタートした.様々な地域で「悪魔の風」,「Winter Winds」などと呼ばれる風が, 関節炎や頭痛などの不調に関係していることが古くから知られており,この風にプラスイオンが多く含まれていることが明らかになれてきた.また,このこのような症状の改善にはマイナスイオンの暴露が有効であると報告されている
 空気中には,放電,放射線,電磁波,降水など様々なエネルギーを受けて帯電したマイナスイオン,プラスイオンが存在する.この中で,マイナスイオンは,塵や霧などの大きい琉子に付着して消失しやすく, また,低湿度やプラスチック製品が多い環境ほど,低下する傾向が見られる.マイナスイオンが多い環境としては,滝や噴水など水が破砕されやすい場所や森林などがある.
 マイナスイオンが生体に及ぼす影響は,十分に明らかにされていないが,以下の効果があることが明らかになりつつある.
 1)セレトニンの減少効果
 2)抗酸化作用
 3)作業能率の向上
 4)ストレス低減
 今後,様々な研究により,マイナスイオンが生体に及ぼす効果が明らかになり,臨床環境医学分野をはじめ様々な分野での利用が期待される.

 【参考文献】
琉子友男:「空気マイナスイオンの臨床および生理学的効果」
 Jpn. J. Clin. Ecol., Vol.10, No.2 p.70-77, 2001