島根大学 地域共同研究センター
公開講演会開催の案内
題 目
「最新の環境処理技術」
講 師
有満 秀信 氏
島根大学 地域共同研究センター 客員教授
(株)荏原総合研究所 先端技術研究所 所長
日 時
平成11年12月 2日(木) 13:00〜14:30
場 所
島根大学 総合理工学部3号館 2F
材料プロセス 講義室
【当日の模様と講演概要】
当日は,外部の方の参加も含め,約40人の参加がありました.
講演では,環境処理技術の例として,「酸性湖(田沢湖)中和計画の実際」について話された.
八幡平を源とする一級河川玉川の上流に玉川温泉がある。pH1.1、水温98℃の温泉水が毎日約12,000m3噴出する、日本でもめずらしい塩酸酸性泉である。1940年1月に発電と農業振興のために、玉川(pH約3.2)の水を田沢湖に導入して以来、貯水量約70億m3、水深423.4mと日本一深い田沢湖の酸性化(pH約4)が始まり、魚類の生息しない湖になった。
演者は、秋田県がスタートし建設省に引き継がれた酸性水対策事業に1964年から参画し、田沢湖と関連河川の水質調査、水質改善目標の設定、酸性泉の実態調査及び中和方式の検討、基本設計に従事した。計画のポイントは、@東北地方に豊富に産出する石灰石を塊状のまま使用する接触中和法採用する、A玉川上流のpHを4.0に改善してあらたに玉川ダムを建設する、B田沢湖に魚が生息できるpH(6以上)に改善する、C十和田八幡平国立公園にふさわしい施設配置・景観にすることにあった。中和設備は約20m3のFRP製石灰石充填8基、冬季用石灰石サイロ(1.5万トン)、石灰石切出しコンベア、および緊急時の簡易中和用石灰石野積みヤードから構成されている。
中和施設は1989年に完成し、田沢湖のpHは現在約5.7まで回復しており、今後徐々に6まで改善される見通しである。
【中和方式の検討】
酸性泉が塩酸主体であること、隣接県(岩手県)に石灰石が豊富に産出することから、石灰石を魂状のまま使用する接触中和法を現地試験した結果、数分の接触時間で中和目標を達成できるばかりでなく、放流水のにごりも少なく、イニシャルコスト、ランニングコストも安いことが確認できた。
【中和施設建設上の注意点】
・豪雪・雪崩。崖崩れ対策
・植物相・観光(国立公園内)に配慮した中和施設および石灰石搬入ルート
・天然記念物『北投石』対策